第一章 人物紹介という名の日常物語

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ま、そんなこともあって、俺は今、新高校一年生だ。 といっても、まだ春休みだがな。 今のうちに、俺の家族や仲間たちを紹介しておく。 今日は幸い、仲間たちで集まってブラブラする約束をしている。 すると、三階建てである我が家のインターホンが鳴らされる。 「こうちゃん、お友達」 「はいよ」 台所で洗い物をしているこの人は、我が母である千鶴さん。 ちょっと前まで中学生、もうちょっとしたら高校生な息子を持つ母親には見えない若さと美しさがある。 清楚で優しく、時に厳しく。 子供たちのことをいつも気にかけている理想の母親、と言えよう。 ちなみに、元ロックバンドの美人ギタリストとして、この辺りでは有名だったそうだ。 今でも母さんの部屋には、立派なレスポールギターと、デジタルスピーカーアンプがある。 「母さん、昼飯は外で食ってくるから」 「ああそう?ちょっと待ってて」 そして、身支度をすませた俺に、母さんが一番大きい小銭をくれた。 「いつもありがとう」 「お昼くらいは、ね♪」 昼飯を食わずに家を出ようとすると、大抵一番大きい小銭か英世さんをどちらか一枚くれる。 まあ使い果たす場合がほとんどだが。
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