死滅した世界の真ん中で

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「いやぁ～大漁大漁♪」

聞いてる奴なんか誰もいない。それでも口をついて声がでてしまう。

正直、世界がこんなことになってからここまで幸せな気分になったのは初めてかも知れない。

台車に乗せた戦利品は白菜七つにキャベツ二玉、キュウリ６本にトマトが四つ。そのほか缶詰が多数。これで十日は何の心配もなしに旅ができる。消費した銃弾も入り口と棚付近の二発だけだ。

あれだ、きっと僕の今日の星座占いの運勢は最上の上の最高だ。全世界の生き残っている獅子座に幸あれ！

いや、すばらしい！思わず即興で鼻歌でも歌ってしまいたくなるね。

真っ先に浮かんだのがなぜかドナドナだったので断念。
なにが悲しくて真っ昼間からゾンビがうろつく駐車場で売られる子牛の心配なんてしなきゃいけないんだ。

自分の持ち歌の貧困さに呆れながら、愛車のワゴンへ向けて駆けていく。