プロローグ

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一人の少女が目を覚ましていた。 周りには誰もいない。少女は、たった一人で目を覚ました。 窓がないため、日の光は入ってこない。入り口から差し込んでくる細い電光が、わずかに薄ぼんやりと部屋を照らしている。 何もない部屋だ。彼女の寝ていた寝台と、ビデオデッキ程度の大きさの機械を乗っけた数台の台車が床に転がってるほかには物質といえるものが何一つない。 端的に言うなら、殺風景。 (ここは、どこだろう) 思考してみるが、彼女にはわからなかった。 どうしてここにいたのか思いだそうと試みる。が、頭が激しく痛むのみで長くは続かない。 ドアの隙間から風が吹き込んできて、少女の腕に刺さっていた細い透明なチューブを僅かに揺らした。 「ここは、どこだろう」 今度は、声に出してみた。 応えるものは、誰もいない。 か細い声は闇に呑まれて、消えた。
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