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・・・ここまでで、僕は手帳に走らせていたペン先を止めた。本当はもう少し書いていたいのだが、あまり時間をおいても危険だし。
表紙に「東名 光(トウナ・ヒカル)」と書かれた皮手帳を助手席に投げ捨て、代わりに後部座席から相棒を取り出す。
89式小銃。この争乱で命を落とした父の、物騒だが今の日本では何よりも頼りになる相棒だ。
弾倉を引き出して弾薬を確認する。まだ余裕はあるが、できれば近々どこかで調達した方がいいだろう。
首から相棒を下げて車から降りる。瞬間照りつけてきた太陽光を右手で遮りながら周りを素早く確認。駐車場に二、三人「奴ら」が蠢いているが、距離は遠いし害はないだろう。
「よっしと。ほんじゃ、行きますか」
小さく息を吐いて、僕は百メートルばかり向こうのスーパーの正面入り口へとかけだした。
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