28人が本棚に入れています
本棚に追加
150メートルばかりの距離を突っ走り、入り口に着くやいなや柱にぴたりと身を寄せて中を覗く。
・・・隅までの確認は暗くて難しいが、見える範囲では少なくとも動く影は見あたらない。
ただ、入り口のガラスの内側に血糊がついているのを見つけた。
(・・・居るね、これは)
小さくため息をつく。
ドアガラスには鍵がかかっていたので銃の台尻で強行突破。その際駐車場の三体がこちらに気づいたので、狙撃で片づける。
ガラスを踏み割って店内に入ると・・・案の定、レジの後ろで立ち上がる影があった。
元はこの店の店員だったのだろう。青いエプロンには元大手チェーン店の名前が刺繍されている。
しかし、客(入り方はアレだけど)である僕に対して彼は営業スマイルなど向けはしない。
代わりに向けられたのは、生気を失った眼と、ダラリとのばされた腐りかけの手。甲には感染者を表す十字型の青あざがついている。
ボ ク
そして、獲物を噛みたいというあからさまな食欲だった。
(忌々しいね)
こみ上げてくる吐き気を我慢して、眉間に一発たたき込む。
無礼な店員はもんどりうって倒れ、動かなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!