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アレックス「兄さんが皇帝になるのっていつなの?」
アレックスは、気になっていたことを素直に聞いてみた。
ジェイク「さぁな。父上がご健在だし、俺自身、皇帝になるかどうか分からんからな。」
アレックスは驚いた。
昔から責任感が強く、剣の腕も兵士長クラスが束になっても敵わない。
アレックスなんてもっての他だった兄が、皇帝の座に就くことを疑問視しているなんて思っていなかった。
アレックス「兄さんが皇帝にならなきゃ、誰がやるんだよ。」
ジェイク「アレ、お前に決まっているじゃないか。」
そして、ジェイクはアレックスを見ないまま言った。
ジェイク「俺になにかあったら…その時はお前にこの国を任せるからな。」
兄が何を考えているのか、アレックスには分からなかった。
ただ兄の横顔を見ているだけだった。
それからしばらくして、事件は起こった。
アレックスとジェイクの父であり、皇帝のルドルフが誰かの手によって殺害されたのだ。
時を同じくしてジェイクが姿を消した。
城内は騒然とした。
皇帝も腕には覚えがあり、なにより、愛刀の七星剣は伝説にその名を残す剣だった。
その七星剣もジェイクと共に消えた。
誰もがジェイクを疑った。
実弟であるアレックスでさえも…。
アレックス「なんで兄さんが父上を殺すんだよ…そんなことしなくても…七星剣は兄さんのものになるじゃないか…。」
アレックスは裏切られた気分だった。
自分の憧れであり、妬みの対象である兄が偉大な父を殺した…。
近隣の国もこの国の弱体化を察知して戦いを仕掛けてくるかもしれない。
そして、なにより自分には皇帝になる器量も実力もないことを感じていた。
不安でいっぱいだった。
箝口令は敷かれたが、いつまでも隠し通せるものではない。
七星剣だけでも奪還せねばならない…。
そして…。
アレックスはジェイクから七星剣を取り戻し、真意を確かめる旅に出ることにした。
国のことはルドルフ皇帝時代からの大神官達に任せ、自分と、自分の教育係であるサーバインの二人でジェイクを探す旅に出る。
ただ一つ…皇子であることが誰にもバレないようにすることを条件に。
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