呼び声

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アンタの家に着いたら。 「本物のJ君だ…。」 って、アンタが出迎えてくれた。 「はは。本物って何だよ。とりあえず、入れてくんない?」 アンタは玄関口でせき止めていた事に気付いたようで、ハッと壁にへばりついた。 俺はアンタの横をスルリと抜けて、勝手知ったるアンタんちのリビングに進む。 後ろからアンタが着いて来てるのは、音でわかる。 俺がソファに腰を下ろすと 「お茶入れるね?何が良い?」 アンタはその横を通りながらキッチンに向かう。 「イイよ。いらねー。」 「え?」 「別に、お茶しに来たわけじゃないからさ。」 キョトンとしてるアンタ。 半月みたいな目が、こぼれ落ちそう… 「立ってねーで、座れば?」 ソファの片側を空けてやると、ニッコリ笑って 「おじゃましまーす。」 俺の隣にポスりと座った。
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