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「俺…みんながいてくれて良かった。みんな、大好きだー!!」
と、叫んだ。
リビングの中心で仲間に愛を叫ぶ雅さん。
もともと、感情表現の豊かな人ではありますが。
何故、このタイミングで?
「どした…の?」
首を傾げるしーさん。
「いや…もうすぐ卒業じゃん?進路はみんなバラバラだし…寂しいなぁって…。」
エヘヘと照れを隠して笑う雅さん。
「大丈夫ですよ。会いたいと思ったらいつでも会えますから。」
俺は、みんなの顔を見回して。最後に雅さんの顔を見ながら言った。
「そうだぞ。そんな暗い顔すんなって。年が明けたらソッコーでしーくんの誕生日会もあるんだし、な?」
ナイフを持って帰ってきたJ君が空いた手で雅さんの頭をワシャワシャっと混ぜた。
「Jくぅううん!!」
ちょっと半泣きで鼻声の雅さんは、ガシッとJ君にしがみついた。危ないってば!!
「その次は雅ちゃんだろ?」
ポツリと呟くキヨシ。
この人はあんまり発言をしないし、リアクションも薄いがちゃんと話は聞いている。
「あ、あの…」
雅さんがキヨシに向かって小さく手招きした。
キヨシは、とことこと歩いて雅さんの隣に座る。どしたの、と耳を寄せるキヨシ。
その顔がみるみる青ざめていく。
「まじで!?俺ずっと雅ちゃんは2月だと思ってた!ご、ご、ごめん…」
「ううん。謝らないで!言わなかった俺が悪いんだから!」
「いや、でも…勝手に勘違いしてた。まじ、ごめん。」
ペコペコ謝り倒すキヨシと、気にしないでと手を振る雅さん。そのやり取りから、おそらくキヨシが雅さんのお誕生日を間違えていたのだろうと思う。
「本当は、いつなんですか?」
「いつ~?ごめんね、オイラがずっと勘違いしてたから…」
「あれ?キヨシは聞いたんじゃないの?」
「いや、もう過ぎたとしか…」
俯くキヨシ。
心配そうに俺らを見つめるしー君。
困ってる雅さんの頭を撫で続けるJ君。
雅さんは、凄く困った顔をしながら。J君の耳元で何かを言った。
「まじで?過ぎてるって…15分かよっ!!お、おめでとう?って今更言われても遅いか?」
「ううん。ありがと…」
真っ赤になって俯く雅さん。
…俺は慌てて時計を見る。
12/25 00:17
と、いう事は。
「雅さんのお誕生日って、24!?」
「うん。黙っててごめん…」
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