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アンタの言葉を聞いていると、俺はとても温かい気分になれるんだ。
さっきは…仕事に集中するために冷たい事も言ったけど…。
アンタの言葉が聞こえると、俺はどんな小さな声でも聞き漏らしたくなくなるから…
仕方なかったんだよ?
アンタは、わかってくれっかな~?
例えば、口をついて自然に出てくる「お花屋さん」なんて響きは、俺にはとうてい真似できるもんじゃなくて。アンタの育ってきた優しくてあったかい環境が存分に溢れてるから…
俺はその全てが欲しくて。
「ちゅっ」
アンタのよく動く口を、自分のそれでふさいだ。
トントン
俺の胸を叩くアンタ。
唇を解放してやると
「どうしたの?」
と、上目遣いできいてくる。
「アンタの話をもっと聞かせてよ?」
「…キス、しちゃったら話せないじゃん。。。」
ううん。
俺には聞こえるんだ。
アンタの言葉が。
だから。
もっと、聞かせて。
ダンボの話でも、今日あった愚痴でも構わないから。
国語学者なんかが操る文法や語彙力も敵わない…アンタにしか紡げない、キレイな言葉を聞かせてよ。
fin
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