第一章 シンシア

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 緩やかな丘は街へとつながる。その街の名はスルト、光と炎という意味だ。  街の大半は果樹園となっており、この地帯の特産物の朱実(ジュミ)の果樹園だ。  炎のような色の朱実は甘酸っぱく、その実は食用に、その種は万能薬の原料となる。  この街の大半の者が、この朱実畑の農家として生計を建てている。  困った時にはお互いを助け合うという精神の残っている、貴重な街であるかもしれない。  そんな街で彼女は育った。
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