「まさかこんなことになろうとは…」

3/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
走り慣れた道に少し気が緩んだのか、少々ボーッとしていたようで曲がる道を間違えたようだ。 気が付いた時には見たことの無い道を走っていた…森の中を走っているためかライトを点灯しないと走れない薄暗さになっていた。 なんとか広い通りに出ようと走ってみると、先ほどまで居た温泉街に戻って来た。 ただ、見慣れた景色に戻って来た事で少々ホッとしたのだが………次の瞬間、一気に顔が青ざめた ………春とは言え、初夏の陽気の暖かさが一変して背筋を悪寒が走り、吐き気を覚えた……と、その時だった………「こんにちは……」。 薄く消えそうな女性の声がした。 後ろを振り向くと、昨日の夜に宿の廊下ですれ違った女性が座って居た…なぜ!? 車は走っている状態で誰も乗るタイミングは無かったはず……… そう考えて居ると、「帰ってしまうのですか?」と問いかけてきた。 僕は恐れながら「明日から仕事なので帰ります」と答えると、「そうなんですか…………?帰しませんよ!!」と言われた直後に車は急停車し、足が動かなくなった!! 足元を見ると、先ほどまで後ろの座席に居たはずの女性が僕の両足を鷲掴みにして『ニヤリ』と微笑んだ。 そして…「か~え~さ~な~い……!!」そう言うと、ものすごい力で僕の足を引っ張り、自分の元へ引きずり込もうとしてきた!! 逃げ出そうにも動けず、気が付けば声を出すことも出来なくなっていた……………薄れていく意識の中で「もう無理だな……」と呟いた…。 ドン!!ドン!!ドン!!「大丈夫ですか?」…「!?」男性の声で目を覚ました。 気が付くと近くの道の駅で停車しており、通り掛かった人がうなされてるオレを見つけて心配になり窓を叩いて声を掛けてくれたようで、起こしてくれた男性に礼を言って外の空気を吸って長い悪夢から解放された気分だった……が、両足にはハッキリと人の手の痕が残っていた………
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!