秘密

憧れ

まあ、お母さんは、女だから縄張りが広くないのだろう。

でも、毎日。ご飯を取ってくるから、お父さんの次に、偉いと思う。

ボクの縄張りは、おやつを食べたユウタと、
散歩に行く、児童公園までの小さい範囲なのだ。

いつか、大人になったら。
ボクも、お父さんみたいな、でっかい縄張りと、たくさんの手下を持つんだ。

『ツクツクホーシ、ツクツクホーシ。』

そんな、ボクの野望を、応援するように、蝉の声が、そこかしこで、聞こえてきた。