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「な、なんだ!?」
突然の事に全く状況が掴めず混乱している中、気絶していたイルもすぐに起きた。
一回だけで終わりかと思われた爆音はその後も定期的になり続けていた。
(まさか……)
カイルは爆音がなると同時に木に登り辺り一帯の様子を見る。
すると、暗くなり始めていた空が朱く染まるほどの勢いで森を燃やし、まさしく『火の海』というに相応しい光景だった。
その光景に目を丸くするも、下から叫び声が聞こえたため、カイルは急いで木を降りる。
「まじかよ……」
イル達が叫び声をあげるのも無理はない。
カイルが降りると、目の前にはSランク級の魔物が複数体暴れ回っていた。
イル達は既に指輪を外していたようで何とか魔物の攻撃を躱わしていた。
イル達を助けようと走りだした時、イル達ではない方向からの事にカイルの足は止まってしまう。
「ようやく見付けましたよ」
森の奥から声が聞こえ、それを合図に魔物達の動きが一斉に止まる。
それを見てまだ顔は見えていないが、奥から歩いてくる奴が本命だと瞬時に感じ取ったカイルは、少し離れたイル達に気を配りながらも攻撃に備えて身構える。
空の色は朱く、周りの木々も所々で燃え始めてきている。
その火の明かりに照らし出されたのは、火よりも更に朱く染まった髪、見つめ合っただけで動けなくなってしまいそうな真紅の瞳、この事件の首謀者だと思われるレガミィの姿だった。
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