憎しみの雷

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「初めましてカイル・アストール……いや、君の事は『研究結果』と言った方が正しいかな?」 「研究……結果?」 笑いながら挨拶してくるレガミィに対し、カイルは睨み続けるだけで一言も発しない。 しかしレガミィの発言にはどうしても普通では、意味の通じない言葉が含まれており、イルを初めとした四人は聞き返さずにはいられなかった。 「おや? 君達は何も知らないのですか。彼は…」 「¨デスライトニング¨」 イル達の声を聞き、面白そうに答えようとしたレガミィだったが、直後カイルの魔法が直撃したことにより話しは遮られる。 カイルが放った雷は確実に直撃したと思われたが、レガミィの服には焦げた跡一つなかった。 「やれやれ……そういう所は君もおじいさんに似たんですね」 「……じい……ちゃん?」 直撃したというのに平然と話を続けてるレガミィの言葉に、カイルは少し震えながら言葉を繰り返す。 その直後、カイルの中に記憶が蘇ってくる。 ずっと幼い頃、心の奥底にしまい込んでいたはずの記憶が鮮明に次々と思い出される。 幼き頃の記憶はもちろん、焼け野原と化した村の事。 好きだった場所も、嫌いだった場所も全て破壊された事。 そしてなにより、大好きだった祖父が自分の目の前で死んでしまった事。 そしてその記憶は、朱い髪の青年が祖父の亡きがらを見下しながら笑っている光景で終わっていた。
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