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「……まえ……か」
「何ですか? 聞こえませんよ」
カイルは下を向き、震えながら声を絞り出す。
しかしレガミィには聞こえていないようで、小馬鹿にしたようで笑いながら聞き返してくる。
一方イル達は、あまりの出来事にその場を一歩も動けずにいた。
「あの日、じいちゃんを殺したのは……お前か?」
下を向いたままだが、今度ははっきりとレガミィまで届くような大きさの声で、再び質問をする。
すると何を思ったのか、突然レガミィは笑い出し、最初は声を押し殺していたが段々と大きな笑いへと変化していった。
「君のお父さんもお母さんも簡単に君の身を売りましたよ……そういう意味では、一番苦労したかもしれませんねぇ」
「あんな奴ら……俺は親だと思った事は一度たりともない!!」
「そうですか。それでは…」
「でも!!」
カイルの発言を聞き言葉を返そうとしたレガミィだったが、カイルの大声で話すのを止めて口を閉じる。
「でも……じいちゃんは違った。それなのに……」
そこまで言うと、カイルは一旦目を閉じ涙を堪えながら言葉を切る。
カイルの怒りは、皮膚に痛いという刺激としてイル達にも伝わっていた。
しばらくして目を開いたカイルだったが、そこに以前のような穏やかな人格は存在していなかった。
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