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「へぇ~楽しそうな相手じゃねぇか。俺にやらせろ」
そう言って一歩踏み出そうとする龍鳳だったが、後ろからの声で動きを止める。
「龍鳳!!……あいつらを頼む」
龍鳳を呼ぶカイルの声は、今までで一番大きな声であり、あまりの凄みに龍鳳は振り向く。
しばらく目を合わせていた二人だったが、龍鳳が先に口を開き沈黙は破られる。
「……いくつ必要なんだよ」
「一本あれば充分だ」
そう言うと、いつの間にか龍鳳の手には鞘に納まった一本の刀が握られており、カイルに向かって投げる。
投げた刀をカイルが受け取ると、龍鳳は舌打ちをしながらイル達の方へ向けて歩きだす。
「……悪いな」
「さっさと終わらせろよ。ガキの相手はめんどくせぇ」
カイルの方を向く事なく答えると、龍鳳はイル達の方へと歩き続ける。
内心は反抗したいイルだったが、緊迫した状況の中口を開く事など到底出来るはずもなかった。
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