憎しみの雷

7/38
23084人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
「へぇ~楽しそうな相手じゃねぇか。俺にやらせろ」 そう言って一歩踏み出そうとする龍鳳だったが、後ろからの声で動きを止める。 「龍鳳!!……あいつらを頼む」 龍鳳を呼ぶカイルの声は、今までで一番大きな声であり、あまりの凄みに龍鳳は振り向く。 しばらく目を合わせていた二人だったが、龍鳳が先に口を開き沈黙は破られる。 「……いくつ必要なんだよ」 「一本あれば充分だ」 そう言うと、いつの間にか龍鳳の手には鞘に納まった一本の刀が握られており、カイルに向かって投げる。 投げた刀をカイルが受け取ると、龍鳳は舌打ちをしながらイル達の方へ向けて歩きだす。 「……悪いな」 「さっさと終わらせろよ。ガキの相手はめんどくせぇ」 カイルの方を向く事なく答えると、龍鳳はイル達の方へと歩き続ける。 内心は反抗したいイルだったが、緊迫した状況の中口を開く事など到底出来るはずもなかった。
/479ページ

最初のコメントを投稿しよう!