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「なにっ!?」
「そうだな……」
アルスの発言に、カイルの驚きの声が響く。
声が響いた後も辺りはすぐに静かさを取り戻す。そんな中ロールも腕を組んで考え込んでいた。
「お、お願いします!!」
「じゃあ二人に試しに戦ってもらおうか。模擬戦ってやつだな。他に質問したい者はいるか?」
ロールが話しを元に戻すが、誰も名乗り出る生徒はいない。
みんなアルスの実力は知っているのである。
ギルドランクBであるカイルの実力を知りたいというのが、正直なところだろう。
カイル一人唖然としている中、ロールによって勝手に話が進められていく。
カイルの意見を一切聞いていないところは誰も指摘せず、全員がこの戦いを見たいようだ。
こうして誰も口出しをすることもなく、着実に事は進んでいた。
(アルスの実力が分からないから、どれだけ手加減すればいいのかさっぱりだ。それにしても……面倒な事になった)
カイルの思いをよそに、周りではすでに模擬戦の話題で持ち切りになっている。
誰ひとりカイルの思いなど知るわけもなく、その当事者が一人でつく溜め息にも、気づくことはなかった。
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