想いの形

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龍鳳と女性はカイル達が去った後、たった数秒だったがお互いに動かず向き合ったままだった。 しかし二人同時に、視界の端に映ったものに反応して顔を動かす。 (あれは確かイケメンの……) 「逃がすものか!!」 龍鳳たちの視線の先、そこには白く長い髪の女性が、一人でカイル達とは違う方向に飛んでいた。 龍鳳は、その女性の名がルージュだということは知らなかったが、オーディンの関係者として一度だけ顔を合わせていた。 龍鳳が確認する時間はほんの一瞬で、目の前のルージュに向かおうとする女性に意識を戻す。 「おいおい……目の前の敵に背を向けるのはどうかと思うぜ」 「くっ……」 小型のナイフを数本投げ付けると、女性は足を止めて握られている刀で弾き落とす。 ルージュの方に視線を向けるも、すでにその姿は小さくなっており、今から追い掛けても追いつけるかどうか際どい状態だった。 「いちいち邪魔をするのですね」 「だったらどうした!! 俺の相手でもしてくれるのか?」 「潰させていただきます。覚悟してください」 冷静になっているであろう女性と向き合いながら、龍鳳の口元は大きく緩んでいた。 そうなる状況であると、外ならぬ自分自身が一番よく分かっていたからである。
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