23080人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
龍鳳と女性はカイル達が去った後、たった数秒だったがお互いに動かず向き合ったままだった。
しかし二人同時に、視界の端に映ったものに反応して顔を動かす。
(あれは確かイケメンの……)
「逃がすものか!!」
龍鳳たちの視線の先、そこには白く長い髪の女性が、一人でカイル達とは違う方向に飛んでいた。
龍鳳は、その女性の名がルージュだということは知らなかったが、オーディンの関係者として一度だけ顔を合わせていた。
龍鳳が確認する時間はほんの一瞬で、目の前のルージュに向かおうとする女性に意識を戻す。
「おいおい……目の前の敵に背を向けるのはどうかと思うぜ」
「くっ……」
小型のナイフを数本投げ付けると、女性は足を止めて握られている刀で弾き落とす。
ルージュの方に視線を向けるも、すでにその姿は小さくなっており、今から追い掛けても追いつけるかどうか際どい状態だった。
「いちいち邪魔をするのですね」
「だったらどうした!! 俺の相手でもしてくれるのか?」
「潰させていただきます。覚悟してください」
冷静になっているであろう女性と向き合いながら、龍鳳の口元は大きく緩んでいた。
そうなる状況であると、外ならぬ自分自身が一番よく分かっていたからである。
最初のコメントを投稿しよう!