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幾多にも存在する魔法陣から放たれる攻撃魔法。
その全てが重なり合い、お互いに溶け合いながら目標――鎖を一蹴し、勢いを増しているカイル――へと一直線に向かっていく。
そのカイルの右腕は、一回りどこらか、もう一人カイルが隣にいるかの如く大量の魔力が覆っていた。
「ぐがぁぁぁ!!」
カイルの口から発せられる咆哮。
しかし大気を震わせるほどの声を発したその口から出たものは、決して声だけなどではなかった。
「なっ!? 貴様は魔力を持っていないはず。何故そんなことが!?」
カイルの口からは、咆哮に重ねるように、もしくは咆哮の方が重なるような形で、魔力の塊が放たれる。
衝撃的過ぎるその光景に、魔力の放出を怠ることはないが、男は動揺を隠しきれない。
「そんなもので!! 我が最強の術式を破れると……」
「がぎゃあ゙ぁぁ!!」
男の目に映るは、既に自らの体の大きさを越えた右腕を振り上げているカイル。
そのカイルが男の放った魔法を気にする様子もなく突っ込んで来るのだ。
理由は単純明解。
男の放った魔法を、カイルの右腕が吸収してしまったのだ。
世界的に見ても数えるほどしか使える者がいない魔法陣の多重同時発動。
それを何の苦もなく払いのけるどころか、自身のへとに変換されては、もはや男に打つ手など残されてはいなかった。
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