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「何、首都は崩壊するかもしれんがまた作り直せば良いだけの話。委員会という組織もまた然り」
「あんた……仲、間を何だと思って……」
「はっはははっ!! 仲間? 味方? そんなものは私にはいない」
睨みつけている目だけが反抗を表していた。
しかし男は笑うばかりで、そんな反抗などものともしない。どころか、何も出来ないカイルの姿を見て、滑稽だと言わんばかりに声をあげる。
「全て駒だよ。盤上の玩具がいちいち騒ぐんじゃない」
(こいつ、人の命を何だと思って……)
両手を広げながら笑う男に対し、何とか立ち上がろうとカイルは少しずつ体を動かす。
しかし限界などとっくに超えている肉体にとっては、それさえもが難しい。
痛みなど今更気にすることではないが、それはあくまで根性論。体はそれにしっかりと反応する。
「もう貴様にも飽きた……さて、準備に取り掛からなければ」
「まだ……終わってなっ!!」
「ふん、まともに起き上がれん奴が粋がるな」
横たわるカイルに嘲笑を向けると、男は一人部屋の奥へと進んでいく。
不可視の扉を隠すことなく入っていき、そのまま姿を消してしまった。
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