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「一から作り直すことは面倒だが……背に腹は替えられぬか」
男は魔法陣の中心から少し離れた所に立ち、自らが作り上げた術式を誇らしげな表情で見上げる。
大きなものから小さなものまであり、中の模様まで全てが一つ一つ違う魔法陣は、その重なった状態でそれぞれが独自に回転していた。
「ふふっ……はっははは!! これで全てが…」
「まだ終わってない!!」
突如、男の背後にある空間が音を立てて崩れていく。
それだけで高らかに笑っていた男の声は止まってしまう。が、その表情は一向に崩れない。
「今更何をしにきたというのだ? 雷帝よ」
「そんな名前はもういらない。力ずくであんたを止める」
「私を止めたとて、これは止まりはせん。貴様の負けだよ」
カイルの言葉にも男は全く動じない。
しかし、両手を広げ後ろに展開されている魔法陣を見せびらかすような仕種を見せる男の表情に、カイルが動じることもない。
「なら、あんたを止めた後に、その魔法陣も破壊するだけだ」
力強く宣言すると同時にカイルは動き出す。
手に握られるは、魔力を固めて形作っただけの刀。
しかし、切れ味がないどころの話ではない。
ただの塊など、持っていると力を消費していく棒のようなものだ。
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