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「うおぉぉぉ!!」
「ふん、今魔法を使うわけにはいかんのでな」
カイルを迎え撃つためにか、男はその手に身の丈ほど大きな鎌を構える。
その身長と相俟ってそのリーチは更に広がっていく。
いち早く懐に入ろうとしたカイルだったが、遠心力の加わったその攻撃を受けきれずに、後ろに下がって距離をとる。
「どうした? 時間は待ってはくれんぞ」
「くっ……」
カイルが距離をとるものの、男がそれを追い掛ける事はない。
その場に留まり、鎌を構えたまま不敵に笑う。
時間のないカイルにとっても、すぐに飛び掛かりたいのはやまやまだが、迂闊に飛び込むわけにもいかない。
(っ!! 迷ったら駄目だ!!)
刀を力強く握ると、再び前に出る。
直線的な動きではなく、ジグザグに走り右から回り込む。
一瞬姿を見失った男だが、今のカイルにそこまでの速度が出せるわけもなく、すぐに鎌を振るう。
「ここだ!!」
「なっ!?」
速度の更に増した攻撃を、カイルは軽く受け止めるとそのまま刀を掘り出して体だけで男へと向かっていく。
引っ掛かった刀を消すことなく、拳を握るカイル。
長いリーチでの遠心力を利用した攻撃は、速度・威力ともに申し分ないものだった。
しかし、否、そのせいで徒手空拳で懐に入ったカイルへの防御は、何一つすることが出来なかった。
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