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それから約三十分後、カイル達は買い物を終えると、寄り道をせずに市場をでていく。
賑わっていると思っていた市場も、時間が経つにつれて更に人が多くなってきたからだ。
「何で俺が荷物もちなんだよ!!」
食材や色々な物を買ったのだが、その荷物はすべてイルが持っており当然両手が塞がり一人後ろからついて来ていた。
前を行く三人は当然ながら、周りの人にも聞こえるような一際大きな声で全員を引き止める。
「あんたは、か弱い女の子に重い物持たせる気なの?」
「か弱い女の子? そんな奴がどこに……」
足を止める三人にやっとの思いで追い付くイルだったが、キティの言葉に大きな溜息をつく。
話を続けようとしたが、キティをちらっと見たイルの口が急にを閉じられる。
その額からは汗が流れ始めていた。
「……イル?」
「喜んで持たせていただきます!!」
「そう、ありがとう」
どす黒いオーラに包まれるキティに睨まれ、イルの体が小刻みに震え出す。
その姿に恐怖を覚えたのだろう。イルは素直に荷物持ちを了承して、足早にその場を離れていった。
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