迫りくる闇

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「大丈夫ですか?」 涙を流しながら歩き続ける姿が少し可哀相になってきたのか、メディアは心配そうにイルの顔を覗き込む。 しかし何かあったのか、イルは更に大量の涙を流すようになる。 「俺の事を心配してくれるのはお前だけだよ」 両手が塞がっているために、涙を拭けず少し汚い姿にも見えるが感動を体で表現していた。 「バカの心配なんてすることないわよ。どうせ役立たずなんだから」 「そうですね」 「えっ!?」 キティの言葉を聞き不満そうな顔をしていたイルだったが、すぐにその視線はメディアに向けられる。 感動で流していた涙も、驚き過ぎたためか既に止まっていた。 「嘘ですよ。そういえば、イルさんって料理出来るんですか?」 驚きで固まっていた顔も、メディアの言葉を聞くと徐々に柔らかさを取り戻していく。 しかしその表情は未だに固く、笑ってはいたものの、視線を合わそうとはしなかった。
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