23085人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
周りの視線に恥ずかしさを覚えながら再び歩きだす四人。
少し不機嫌そうなイルは、無口なまま振り向こうともせずに先頭を歩いていく。
「何かされたらすぐに言うのよ?」
「そ、そうですね」
「何もしないって!!」
無関心に見えていたが、聞き耳はたてていたのだろう。キティとメディアの小さな声でのやり取りにも幾度となく口を挟んでいた。
そんな光景を一番後ろで笑いながら見ていたカイルだったが、頭の中では全く別の事を考えていた。
(さっきのは一体何なんだ? 聞き間違いなんてありえない。だいたい俺の正体がばれている事自体がありえないのに……。とりあえず報告はしとかないと)
悩むカイルだったが、ティアラに報告する事を決めた後は、それ以上は深く考えるのは止めにすることにする。
すっきりしない気持ちを抱えながらも歩みは止めずに四人についていく。
寮につくとイルから食材などを預かり、部屋に入って一息つく間もなくキッチンへと向かう。
キティやメディアも手伝うと言ってくれたのだが、せっかく自分のために開いてくれるパーティーなので、一人で作ると言いくるめて後で集合する形にしていたからだ。
「一人じゃさすがに仕事が多いな。¨ルージュ¨」
受け取った食材を眺めながら名を呼ぶと、光に包まれルージュが姿を現した。
最初のコメントを投稿しよう!