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「じゃあ次言ったら卒業するまで奴隷な」
ルージュが慌てた様子でフォークを取りに行く間に、イルに笑顔を向けながら条件を提案するカイル。
引き攣っていたイルの顔が、だんだんと青ざめていく。
「そ、それはやり過ぎだろ?」
奴隷。
主人の命令に従い続けるしかない道具。
頑なに拒むが笑顔で交渉を続けるカイルも一歩も退こうとしない。
「言わなきゃいいんだから簡単だろ?」
「……分かったよ。言わなきゃいいんだろ?」
「一体何の話なんですか?」
渋々イルが提案に承諾の返事を返した直後にルージュが戻ってきて会話に混ざろうとする。
鳥は三歩歩けば忘れるというが、この時のイルは鳥さえも超越した存在だったのだろう。
なんせ一歩たりとも動いていなかったのだから。
「契約するときにカイルとルージュが……」
途中まで言ったところで自分の愚行に気付いたイル。
しかし時既に遅し。少し前にも味わったような感覚を思い出しながら、周りを見渡してある人物の姿を探していた。
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