任務

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ここはギルド〈氷の女神〉 アリグム最大のギルドで、ギルドの名前の由来でもある《氷の女神》の名を持つギルドマスターとXランクである《雷帝》の所属しているギルドである。 先ほどの少年は銀色のローブに身を包み受け付けで手続きを済ませ、ギルドマスターの部屋の扉の前にいる。 「はぁ……」 これまでも同じような状況を味わったことがあるのだろう。明らかに気分の乗らない表情の少年は、小さなため息をつくと扉を軽くノックする。 「雷帝です。戻りました」 「どうぞ。中に入って」 聞き慣れた声を聞き少年は部屋の中に入る。すると二十歳代であろう美しい女性が座っていた。 エメラルドの髪を腰の所まで伸ばし机に積み上げられた書類を手慣れた手つきで次々と処理していく。 彼女こそがギルドマスターであり、《氷の女神》の名を持つ女性。ティアラ・エメリードである。 「マスター、いきなり呼び出してなんの用ですか?」 いきなりの呼び出しに少し機嫌の悪い少年は、世間話一つせず話の本題を聞き出す。 ティアラの方も少年の気持ちを察したのだろう。すぐに話を始める。 「マスターなんてよそよそしい呼び方は止めてって言ってるでしょ。まぁとりあえず、急な会議があってね。カイル、明後日から学園に通いなさい」 あまりに突然の事で少しの間沈黙が流れる。 沈黙を破ったのは他でもない命令を受けたカイルだった。
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