迫りくる闇

13/47
前へ
/479ページ
次へ
「何をって……卒業まで奴隷になるんだぞ? これで騒がずにいられるか!」 必死に自分の状況を説明しようとするイルだが、分かってもらえた気配は一向になかった。 呆れた様子のキティに分かってもらうように説明を続けるが、一つも受け止められていない。 「お前だってこんな状況になれば騒ぎたくもなるだろ?」 「……私は発狂しちゃうかもね」 いくつも説明する中の一つで、ようやくキティの感心を得ることが出来ていた。 顎に手を当てて少しの間自身の姿を想像したのだろう。 再び目を合わせるキティはきっぱりと言い切った。 「だろ? なら…」 「でも、今が最低辺のあんたは大丈夫でしょ?」 不意なキティの発言に固まってしまうイル。 目を閉じて必死に涙を堪えようとしているが、止められなかったようで勢いよく頬を濡らしていた。 へこんでいるのかと思った次の瞬間、一変して目を見開き顔を上げると、勝ち誇ったような笑みを浮かべながら話し出す。
/479ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23119人が本棚に入れています
本棚に追加