任務

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「学園って……。今さら学園で習う事なんて何もないだろ?」 カイルは、ティアラに言われたため、口調をいつものように戻す。 口調を戻した第一声で、カイルは驚いているがそれも当然。学園とは魔法等について学習する所なので、《雷帝》として活躍しているカイルには学ぶことなど一切ないのである。 それもティアラは十分に分かっているはずなのだが、それでも申し訳なさそうな表情で話を続ける。 「そうかもしれないんだけど……。学園も出ていないような子供がXランクを持つのはどうなんだって言われちゃって。まぁ息抜きのつもりで行ってきて。向こうの学園長には話はつけてあるから」 「話はつけてあるって……。俺の意思は無視ですか」 「これは命令よ。逆らったらギルドランク剥奪だからね」 ギルドランク剥奪。 それはXランクが無くなるということを意味しており、ギルドに属する事が出来なくなるということである。 逆らえない命令を受け、呆れた様子でため息をつきながらカイルは返事をする。 「はぁ……。結局選択の余地なしってやつか。わかったよ。行けばいいんだろ。用はそれだけか?」 「必要な物は向こうに送ってあるから。それと分かってると思うけど、雷帝って事は隠しといてね」 「分かった。¨転移¨」 話を聞き終えると、さっさと帰るそぶりを見せる。ティアラも軽い話し方の中にも、真剣表情を見せる。 ティアラの顔を一瞬見て言葉を返すと、カイルはすぐに魔法を使って帰ってしまう。 「頑張ってね。カイル……」 カイルが帰り、再び静かになった部屋にティアラの声が小さく響く。 一人になった部屋の中で、優しさを含んだ眼差しでカイルのいた場所を見つめ続けていた。
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