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一瞬、少女の動きが止まる。
ややあって、少女は、大きく目を見開きながら、ゆっくりと胸元へと視線を落とした。
仮面の黒魔術師の右手が手首まで深々と自分の胸に突き刺さっているのが見える。
「いゃぁ・・・」
少女は怯(おび)えかすれた声で呻(うめ)いた。
が、不思議な事に、血は一滴も流れておらず、苦痛は全く感じない。
まるで夢の中の出来事のように・・・。
「大丈夫。
苦しまずに・・・殺してあげる」
仮面の黒魔術師のその言葉を聞いた少女が半狂乱でもがき始めた、その時、仮面の黒魔術師はゆっくりと少女の胸からその手を引き抜いた。
すると、その手にはまだゆっくりと脈打っている少女の心臓が握られていた。
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