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それを見た少女は、もがくのを止めると、凍りついたように固まったまま、じっとその自分の心臓を凝視した。
驚愕の思いに大きく目を見開いている。
やがて、少女は、仮面の黒魔術師に向って、その震える小さな手を伸ばしながら、懇願するように言った。
「お願い、返して・・・」
が、仮面の黒魔術師は、少女のその必死の訴えを無視すると、ローブの下から一体の人形を取り出した。
高さ40cm程の金髪・碧眼(へきがん)のフランス人形だ。
そうしてそれを静かに祭壇の上へと置く。
それから仮面の黒魔術師は少女の心臓を握った右手をそのフランス人形の上へとかざした。
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