第零話 ぐっばい∴わーるど

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さようなら。 それが、俺の聞いた、彼女の最初で最後の言葉。 煌びやかなシャンデリアが輝く一室で。 彼女は、言葉を発した。 それを聞いたとき、俺は喜びと悲しみに打ち震えた。 胸元に刺さった短剣の痛みすら忘れるほど、歓喜した。狂喜した。 世界が一気に色付いた。 そんな気が……したのだ。 彼女の口から赤い液体が零れる。 そして、俺の口からも赤い液体が零れる。 赤と赤は混ざり合い、朱になる。 朱は分離して、赤と赤になる。 俺は、慌てて倒れゆく彼女の躯を支えた。 しかし、一緒に倒れてしまう。 手にした彼女の体から、命が零れていくのが分かった。
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