序章

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――――――――――――・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ん。 俺はふと眼が覚めた。 すると、誰かは分からないが毛布を掛けてくれていたようだ。 あんな事があった後にこんな気遣いをされると、この優しさが心に染み渡るようだった。 また視界がぼやけてきた。 眼に涙がたまっているんだろう。 瞳に移るもの全てがゆらゆらと動いている。 気を緩めたら涙が零れ落ちそうで 俺はじっと耐えようとしていた時 ――――――――――――ガタン。 玄関を開ける音に耳をすませていた。 今はまだ夜が明けておらず、外は真っ暗で何ひとつ物音もしていない。 朝から夜までの騒がしさは何処へいったのかと言わんばかりの静寂ぶり。 俺は何故か笑いが出てきた。 その間に玄関からリビングまでに続く廊下を歩く足音が聞こえて来た。 段々と近づく足音。 ――――――――――――ガチャ。 廊下からリビングへと通じる部屋のドアノブを回して入ってきたのは
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