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「そうすれば朝、もっとゆっくり眠れたでしょ」
「忘れたことに気付いたのが、夜遅かったので」
咄嗟に出た言い訳を、先生は納得したように頷いた。
「そっかそっか。でも宿題は早めに済ませた方がいいよ。そういえば君さ、僕のこと知ってる?」
園山先生は自分のことを指さし、不安そうな顔を浮かべた。それが余りに演技じみていて、私は思わず笑ってしまった。
先生は「何で笑うんだー」とこれまた大袈裟に嘆いてみせたが、私が「隣のクラスの園山先生」と答えると、一瞬だけ驚いた顔をしてから満足げに笑った。
「嬉しいね。関わりのない子でも名前を知ってくれているなんて。君は?何て言うの」
「友倉(ともくら)です」
「友倉さんね。まだ五年生は半年あるけど、来年担任になったらそのときはよろしく」
私は差し出された手を、躊躇(ためら)いを隠して握り返した。
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