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園山先生の人気は既にクラス中に浸透しており、女子はもちろん、男子でさえ喜び、他のクラスは羨ましそうな視線を遠慮なく向けた。 小学校の担任は、クラスの大概の授業を受け持ち、更に学級会も頻繁に開かれるので、担当の生徒とは必然的に密接に関わることとなる。 特に私を悩ませたのが、毎朝の提出が義務づけられた日記帳だった。 「初めて知った言葉。新たな発見。友達と遊んだとか兄弟喧嘩をした、あるいは授業の感想でもいいから、何でも書いて先生に教えてください」 そんな言葉と共に、一人一人に配られた青いノート。何人かから飛んだブーイングも「必ず返事は書きます」という先生の言葉の前では無力だった。 朝に提出された日記帳は、帰り、園山先生のコメントつきで返却される。それを毎日繰り返すというのだから気が滅入るのも当然だ。
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