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教室の中央にある机に少女が座っており、その前で屈むようにしてジャージ姿の教師が立っていた。 教師は後ろ姿しか見えないが、恐らく隣のクラスの担任である園山(そのやま)先生だ。 少女の方は何度か見たことはあっても直接話したことはなく、正確な名前は知らない。確か「アキ」と呼ばれていた気がする。 恐らく向こうは私の存在さえ認識していないだろう。 何か、周りの人に聞かれたくない悩みでも相談しているのかもしれないと思い、立ち去ろうとした瞬間、私は目を疑った。 アキが自ら七分袖のシャツを捲り上げると、膨らみもほとんどないその胸に園山が口付けたのだ。 照れ笑いをしながら小さく笑うアキの表情から、合意の上で行われていることは明らかだ。しかし、色恋沙汰などに全く興味を抱かない無知な私でも、これが異様な光景であることは理解出来た。 そんな驚きとは裏腹に園山はアキの背中へ腕を回し引き寄せ、尚も舌を動かしていた。 私は声を殺すことに精一杯で、我に返った瞬間、慌ててその場を後にした。
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