日常

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5時間目と6時間目の間の休み時間。昼休みとは違い、廊下へ出る元気も無いのか他の生徒がいることは少ない。 今日もそれは変わらなかった。 そして、変わらないことがもう一つ。 「廉君、待ってくださいよぉ」 「お前が行くっつったんだろ。さっさと行くぞ」 学校という人が多い場所にも関わらず、人目をはばからず男子生徒の腕に抱きつく女子生徒。初めて見る人にとっては、こちらが照れてしまうほどの仲の良さであろう。現に、仲は悪くはないのだが、 「くっつくな。動きにくいだろ?」 男子にしては大きめの瞳がやや閉じられ、大きなあくびと共に呟く。 ズボンに突っ込まれた手からも、気だるさが伺える。 「相変わらず仲良いなー、廉」 「はい!もう……」 「どこがだよ。動きにくいったらありゃしねえ」 はは、と愛想笑いを浮かべる俺と千紗。 毎度のことなので、慣れてはいるが。 「柚子も相変わらず」 千紗が呟く。 それに対し誰もが惚れてしまいそうな満面の笑顔の柚子。 一方的な二木 柚子(フタギ ユズ)の告白により断る時間も無く付き合い始めた山口 廉(ヤマグチ レン)。最初は何かの冗談かと思い特に気にしてなかったのだが、こうして柚子の熱烈なアタックにより廉も冗談ではないと分かり、今に至っているわけだ。 「廉君、待っててくださいね!」 と女の子らしく手を振る柚子。はいはい、と小さなため息をつく廉。 「大変だね、廉君も」 「全くだよ。つかいい加減君付けやめろよ、千紗」 去年、同じクラスだった俺達5人と廉。柚子は違うクラスだったが、一目惚れらしく、廉に告白したらしい。俺と廉で歩いていた目の前に、急にポニーテールを揺らし走ってきて、何かあったのかと思い2人で目を合わしている所に、 「山口君、大好きですっ!付き合ってくださいっ!!」 と言ってきたのだ。そして、 「明日から柚子、って呼んでくださいねっ」 と言い残し走り去っていったのだ。 彗星の如く現れた彼女。今では学校でこの2人は有名人だ。
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