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「トイレ行こ?隆一」
窓際の一番後ろの席が柳。前に俺がいて、その前には斗真。俺の横が千紗でその前が亜子。
狙ったかのような配置だが、くじで決めた席なので全くの偶然である。
外をぼーっと眺めていた俺に、突拍子もなくかけられた一言。
「亜子か柳と行けよ」
千紗からだ。
「だって2人とも行きたくないって言うし」
斗真は?と言おうとしたが、前の席のやつとしゃべっていて聞いてない様子。
謀ったな、斗真。お前そいつと仲良くねえだろ。
誘われると断れない性格の斗真は、亜子とかを誘っている千紗に気付いたのだろう。自分が誘われると予測したのだ。千紗に誘われたらなおさら断れない斗真は、他の人と喋るという作戦をとったのだ。
自分の性格知ってやがんな、あいつ。
「普通、女子誘わね?」
「いいじゃん細かいことは。ほら行くよ」
はいはい、と席を経つ。
ごめんね、隆一。と小さく呟く声は隆一に届く。
片手を挙げ合図する隆一に隣の千紗はハテナマークを浮かべていた。
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