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「よく頑張りましたね。」
成嶋さんは消毒をしながら言った。
「え?」
「指名手配犯の説得です。」
「あ…いえ。なんかこう…熱くなっちゃって…」
『いつの間にか身体が動いていた』と伝えると、成嶋さんは優しく笑った。
「そこが君の長所であり短所ですね。でも今回の選択は正解でしたよ。」
「…ありがとうございます///」
手当ては終わり、成嶋さんが作った夕食を食べた。お風呂も済ませた夜12時半。俺と成嶋さんは寝室で眠りにつこうとしていた。
「あの…成嶋さん、」
俺に背中を向けて横になっている成嶋さんに声をかけた。
「…」
返事はなく、もう眠ってしまったのだと思って、成嶋さんの背中からお腹に手を回した。
今日捕まった時の戸部先生の姿が脳裏から離れない。
俺がもっと先生と連絡をとれていたら…
もっと俺が先生と親しかったら…
俺は自分の無力さを感じて涙を流した。
「優弥さ…グスン」
ボソッと俺がつぶやくと、視界が反転し、成嶋さんと天井が目に映った。
「ふぇ!?」
俺は突然のことに驚き、涙が止まった。
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