8.悲しい事件

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「よく頑張りましたね。」 成嶋さんは消毒をしながら言った。 「え?」 「指名手配犯の説得です。」 「あ…いえ。なんかこう…熱くなっちゃって…」 『いつの間にか身体が動いていた』と伝えると、成嶋さんは優しく笑った。 「そこが君の長所であり短所ですね。でも今回の選択は正解でしたよ。」 「…ありがとうございます///」 手当ては終わり、成嶋さんが作った夕食を食べた。お風呂も済ませた夜12時半。俺と成嶋さんは寝室で眠りにつこうとしていた。 「あの…成嶋さん、」 俺に背中を向けて横になっている成嶋さんに声をかけた。 「…」 返事はなく、もう眠ってしまったのだと思って、成嶋さんの背中からお腹に手を回した。 今日捕まった時の戸部先生の姿が脳裏から離れない。 俺がもっと先生と連絡をとれていたら… もっと俺が先生と親しかったら… 俺は自分の無力さを感じて涙を流した。 「優弥さ…グスン」 ボソッと俺がつぶやくと、視界が反転し、成嶋さんと天井が目に映った。 「ふぇ!?」 俺は突然のことに驚き、涙が止まった。
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