第一章 海への誘い

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第一章 海への誘い

ホテルの事件から一月が経つ…。 あの事件が切っ掛けに為り、学園内外で一躍有名になってしまった。 新聞各紙が学園や家迄押し掛け、連日連夜の大騒ぎだった…。 が、それも直ぐに収まり、少し寂しい気もする。 今は夏休みに入ったばかりで、する事も無く家の中でエアコンを付けてダラダラと過ごし ていた。 テレビを付けるが面白い番組も無い…。 『アァ、これだと学園に居る方がマシに思えてくるな…。』 一人呟く。 飲み物を取りに下に降りると何やら物音がする。 (誰もいない筈だぞ?) 一度部屋に戻り、中学時代に買って貰った、一度も使われる事の無い木製バットを握る。 ゆっくりと階段を降り、音のする方へと足を忍ばせる…。 近付いて行くと人影が荷物を物色しているのが判った。 木製バットを構え、後ろから大きな声でさけぶ。 『誰だッ!!』 振り返った人影は僕を見て驚いた。 『ウワッ!待った、待った!』 浮付いた声で人影が叫ぶ…。 良く見ると、見覚えの有る顔だった…。 『と、父さんッ!』 『あー、びっくりしたよ…。酷いな時耶…。』 『何で此処に居るの?』
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