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数年前
?「どうしたの?大丈夫?」
1人の修道女が巡業中、街の路地裏にて、倒れた少女を見つけた。
?「う……?」
少女はボロボロの服に体中汚れていた。
?「アナタ、お父さん、お母さんは?」
?「お父さん、お母さん?」
?「そうよ」
?「いない……」
?「え?……そう……」
グゥー
?「お腹空いてるの?」
?「………」
コクっと少女は力無く頷く。
?「ほら、コレを食べなさい」
修道女は持っていた鞄から林檎を取り出す。
少女はじぃーっと林檎を見つめるが、取ろうとしない。
?「どうしたの?ほら」
修道女は手渡そうとするが少女は受け取らない。ただ、修道女を訝しげに睨むだけ。
?「もしかして、私が何か企んでいると思ってるのかしら」
?「……」
少女は無言である。修道女はそれを肯定だと判断し、
?「大丈夫よ、ほら」
修道女はその林檎をかじる。
?「❗」
少女はピクリと反応する。修道女は気にせずそのまま食べ続ける。少女はそれから目が離せなくなる。
?「食べなさい」
修道女は鞄から新しい林檎を取り出し、手渡した。その瞬間、少女は無心で食べ始めた。
?「フフ…。よっぽどお腹空いてたのね」
少女が林檎を食べ終わると微笑みながら、新しい林檎を手渡した。
?「アナタ、名前は?私はアンジェリカ=クリアハート」
?「名前?」
食べ続けながら、少女は言う。
アンジェリカ「ええ」
?「無い」
アンジェリカ「そう。それじゃ、アナタはコレからどうするの?また、行き倒れちゃうわよね……」
?「……」
アンジェリカ「うーん。よし、私と一緒に来る?」
?「え?」
少女はぽかんとした顔をした。
アンジェリカ「だから、一緒に来ると聞いてるの?」
?「何で?」
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