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僕自身が考えても導き出せない答えをマスターなら、答えてくれるような気がしたのだ。
僕はマスターが見つめる視線の先を目で追った。
その瞬間に扉の開く音がして直子が僕に近づいてきた。
「やっと会えました。」
直子は照れくさそうに笑って言った。
その顔は、とても愛らしく眩しかった。
直子のイメージとは随分、掛け離れた子供のような笑顔。
僕は直子の事を何も知らない。
育った環境や、現在に至るまで。
知っている事と言えば名前だけだ。
それなのに僕は今この瞬間、直子に恋に堕ちた。
いや、もっと言えば以前、此処で出逢った瞬間だったのかもしれない。
安芸の時と同じだった。
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