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「ここ最近、直子ちゃんが毎日店に通ってたのは貴方に会う為だったんですね。」 マスターは笑った。 「マスター辞めてよ!!」 直子は顔を赤くして頬を膨らませた。 「初めてなんです。音秋ななさんの小説を愛しそうに拡げた人は、純さんが初めてで。嬉しくて…。」 僕は自分がそんな風に小説を拡げていたなんて全く気付かなかった。 思い当たる節があるとすれば安芸との思い出が詰まった小説だったから。 安芸の事を考えていたから自然とそんな風になったのかもしれない。 僕はただ直子を見つめていた。
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