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シンプルにエルメスのロゴが刺繍されたブルーのハンカチだった。 皺一つ無いハンカチは彼女の生活臭さを一切感じさせない。 まだ一度も使ったことの無い物のように僕の前に差し出された。 仄かに直子の匂いがする。 「すいません…。いいんですか?」 「どうぞ。使ってください。」 「次会った時に返します。」 僕はそう言うと濡れた袖元を拭いた。 「また次に会う理由が出来ましたね。」 直子は穏やかに微笑んだ。
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