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桜も散り、雨ばかりが続いていた。
窓ガラスには雨雫が打ちつけられては下へと流れ落ちていた。
僕の代わりに空が泣いていた。
直子も泣いていた。
僕は泣いている直子を抱き寄せた。
「何かあったの?」
「出逢った頃から思ってた。あなたはいつも私を通して誰かを見てる。それでも構わないって思ってた。あなたが…純が好きだから。それでも構わないって…。」
直子が声を押し殺そうと涙を堪えようとしている。
その努力も虚しく悲痛の声が部屋中に響き渡る。
僕は直子の髪を撫でた。
大丈夫だよ。心配しないで。
そんな意味を込めて。
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