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「もしも…。もしも私が居なくなったら純ちゃん泣いてくれる?」
「何で?」
「ううん。聞いてみただけ。」
「そっか。」
何事も無いように安芸も微笑んでいた。
だから僕はそんな話をしたことさえ忘れていた。
この言葉の意味がどれだけ深く意味のある言葉だったか、安芸を失って初めて気が付いた。
陽が落ちて少し肌寒くなっても僕は窓を開け放したまま、壁に凭れていた。
たまに鼻歌を口ずさんでは、淡い紺色に染まった空に吸い込まれそうになるのを耐えた。
いっそのこと、このまま吸い込まれてしまえばいいのに。
暗い闇に同調するように、僕は静かに呟いた。
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