一難去ってまた一難

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真っ青に晴れわたり心地好い午後、人通りの多い大通りを一人の人物がゆったりとした足どりで歩いている。                                  長い髪を結いもせずなびかせてはいるものの、歩く姿はそこまで人目を引くものではない。              しかしながら、その人物は周囲から好奇心の様な同情心の様な注目を一身に受けていた。                 それはそうだろう。その人物は『盲目』を連想させるかの様に、両の眼を擦り切れた布で覆っているのだから。 しかしそれにしては見えてはいないはずなのに、全く迷いが無いかの様にしっかりとした足どりで歩いている。                             はてさて…不逞浪士の多く闊歩するこのご時世,余所者にそこまで親切心など持てない京の町人達も,この奇妙な人物には流石に声をかけてやるべきか?無視するべきか? 困惑した表情を浮かべている。 ふと、その人物の足が止まった。 その人物の目前には3人の浪士が立ちはだかり、わざとらしく行く手を遮っていた。 浪士達はニヤニヤと、鴨を見付けた肉食獣の笑みを浮かべながら口を開く。                                      「我等はこれより尽忠報国の為の活動する身である。その方に活動資金の献金を申し入れをしたい。・・・・見た所良い物を持っているようだな、それを渡して貰おうか」                                言い終えるより速く、右側の男が舌なめずりしそうな顔で刀を奪おうと手を伸ばす。 が、その人物がまるで見えているかの様にひょいとかわしたため、伸ばされた男の手は空を掴むに終えた。 「…悪いが刀はやれぬ。主等には勿体ない業物じゃからの」 場に全くそぐわない、朗らかな笑顔が木霊した。                                       
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