一難去ってまた一難

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その人物は困惑しながらも、何とか返答を弾き出す。 「無関係じゃ。関係あるとすれば今しがたの光景のみ。先程からずっと見ておったじゃろう?」 ニッコリと笑顔で指摘すると、次第に相手の眼光が鋭いものへと変化する。 雰囲気を感じ取ったのか、コレにその人物は焦りだした。 自分は何かおかしな事を言ってしまったのだろうかと、思い悩む。 対して壬生浪士組を名乗った男は冷静に相手を分析していた。 (あの浪士共と仲間では無さそうだが、此方の方が明らかに強い…。それに先程からの尾行にも気付いている…か) そっと隣の相方を見ると目が輝いていた。 この男のこういった顔は,ある一定条件下で発動する。                      条件は一つ。 『強い』 ただそれだけ。 自分の考えの一つが肯定されたことにささやかな安堵感を抱きつつ,眼前の人物に話し掛ける。 「我等に同行して貰おう。貴殿に拒否権は無い」 キッパリと断言すると相方が横から付け足す。 「逃げようなんて考えないでね?逃げたりしたら後ろから斬っちゃうからね?」 茶屋にでも誘うかのような笑顔で言われ,やはりキョトンとした表情のまま,その人物は無抵抗に連行されることとなった。
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