プロローグ

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「たくさん人が入ってるね~」 2時半にもなると,最初はがら空きだった球場にもたくさんの人が入ってくる。 「そりゃあ土曜日のデーゲームだからな」 休みだから子供連れの家族とかが多いんだろう。 「あ,見て見て!選手が出てきたよ」 フライチャンズチームの選手達がベンチから出てきてウォーミングアップを始めた。前で立ち見している観客達が写メを撮ったりしている。 「奈央子は写メ撮ったりしないのか?」 奈央子に聞いたが,そんな必要は無かったらしい。すでに携帯を構えている。ちなみに僕はいちいち撮ったりしない主義だ。何と言うのか,面倒くさい。 「只今より,両軍のスターティングメンバーを発表致します」 ウグイス嬢の声がする。もうそんな時間か。 「岩田も相木も出るよね?」 奈央子が若干心配そうに聞いてきた。 「チームの要だからな」 実際問題,このチームは相木と岩田のせいで他の二塁手や遊撃手が育っていない。 相木チームのスタメン発表も終わり,フライチャンズのスタメンの発表になる。 「1番,セカンド,相木」 「よしっ!」 ウグイス嬢が言うと同時に,奈央子がガッツポーズをする。普段の生徒会長の時とはうって変わって,何だか凄く子供っぽい。 「2番,ショート,岩田」 「やったじゃん和也!」 今度は僕の方を向いて言った。凄くテンションが高いな。少し分けて欲しいぐらいだ。 「試合開始まで,もうしばらくお待ちください」 スタメン発表が終わると,前で立ち見していた観客達もいなくなる。 さて,試合を楽しむか。奈央子が折角誘ってくれたんだから,楽しまないと。
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