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「そういえば鳴海くん,生徒会の副会長してるんだって?」
野崎が授業中話しかけてくる。
「ああ。でもなんで知ってるんだ?」
「鳴海くんのことを皆に聞いたら教えてくれたの」
「そう」
「それでさ,会計の子と門のところでハグしたって」
随分昔の事を掘り返してくるな。
「あれは勝手に飛び付いてきたんだ」
「ねえ,次の休み時間にその子に会わせてよ」
「は?なんで?」
「気になるから。いいでしょ?」
「まあ僕はいいが…」
井原さんがどう思うかは知らない。
「よし,じゃあ決まり。次の休み時間,よろしくね♪」
そう言うと,野崎は再び授業へ集中した。
んで休み時間。
僕は野崎を従えて井原さんのクラスへ向かった。すれ違う度に生徒に見られた気がしたのは,気のせいじゃないだろう。噂の転校生と2人で歩いているのだからな。
「井原さ~ん」
井原さんの教室に着き,声を掛ける。井原さんは僕と野崎に気付いたらしく,友人との話を切ってこっちに歩いてきた。
「鳴海くんがわざわざ私に会いに来るとは珍しいですね。何の用でしょうか?」
「こっちは今日転入してきた野崎光香だ。知ってるよな?」
横にいる野崎を見て,井原さんの目の色が変わった。
「モデルの野崎光香ですか?」
「うん,まあね」
「私ファンなんです。私は井原汐里です。これからよろしくお願いします」
井原さんが手を差し出す。
「ええ,よろしく」
野崎が笑顔で手を握り返す。
「それで話とはなんでしょうか?」
「あなたと鳴海くんの関係を聞きたいの」
今度井原さんはきょとんとした。
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